『禍家』 三津田信三

禍家 (光文社文庫 み 25-1)  禍家

先ほどブログで書いた、『ホラー作家の棲む家』に続いてまた家だ。

両方とも、主人公が普段住む家が物語の舞台、

ひいては怪奇が降りかかる舞台となっている。

日常性を保つはずの家が、非日常を引き起こすとは皮肉なものだと思う。

しかしながら両方とも、引っ越してきてということなので

家というのが、異世界の扉のような役割なのかもしれない。

「ホラー作家」と同じ作者で同じ題材を使う。

こうなれば、ほとんど同じになるはずだが、一点大きく違う部分がある。

それはこちらの『禍家』の主人公がまだ幼い少年だということ。

主役が少年ということで、語り手も違うわけで、受ける印象が違う。

子供の視点の恐怖というのは、僕にだってあったわけで、

今は平気だったはずの、子供の視点の恐怖が蘇るようだった。

さらに両作品は、怪奇、事件と違うのだが、

それでも、ほとんど同じ話であったと僕は感じた。

それはミステリーとして同じ話だと思ったということで、

ホラーとしては違うわけだが、

そういった印象からか、ミステリーとしてのイメージの方が強いかなと思う。