ちゃんと覚えているんだ、こんなに

この前、邦楽、ちょっとじんわりくる曲集を作ってみたを載せてから、

そのアルバムを良く聞いていたけど、

どうしても、Mr.Childrenの「あんまり覚えてないや」が涙腺に来る。

HOME(通常盤)アルバムHOMEに収録

覚えてないや、覚えてないやとリフレインした後に、

父親や母親を忘れない、若かった両親を覚えているんだ。

幸せだったんだというメロディが、どうにも自分に重なる。

親父はアクティブさこそ、以前より増しているが、

新聞読むとき老眼鏡をかけるようになった。

母親は、顔のしわが目立ってきた。

女性はいつか親元から巣立つだろうけど、

男、特に僕みたいな長男だと、

頭の隅で実家に戻るだろうなんて考えていた。

だけど、紆余曲折あって、どうにも実家には戻れない社会人になるようだ。

老後なんて見んでもいいから、さっさと独立してくれと両親は言う。

本当にやりたいことを見つけて、巣立っていくなら迷いもないが、

僕は、第一志望から落っこちて、今の所に収まる感じになった。

そこばっかに向かってたから、周囲なんて見えていなかった。

正しかったなんかは、わからないけど、

迷いながら、戸惑いながら、行くっきゃないのだ。

込み入った事があり、急な変更でと言われ、

部署が変わり飛ばされたが、やらなくては。

働く場所があるだけ、良しとしなくては。

新入社員1年目、がんばらないと。

やってみなければ、わからない。

もう親に見てもらう道でなく、自分の道を歩くことになる。

いや、とっくの間に、自分の道だったかもしれない。

高校も大学も会社も決めたのは自分だ。

好きなものも、嫌いなものも、選んだのは自分だ。

そんなこと思うなんて、僕も年をとったみたいだ……

こんなことを言うと、この若造がと叱咤されるだろうか。

でも、子供だって、ちゃんと成長して自分だけの物語を作るもの。

そんな自分の物語の中に、あんまり覚えていないことばかりでなく、

ちゃんと覚えていることがある。

なんだか、とっても幸せなことだと思う。

僕らは大人になっていくけど、

いつまでたっても、子供でもある。

両親はいつまでたっても、お父さんでお母さんでいる。

姿形は変わっていくものがあるけど、変わらないことがちゃんとある。

「あんまり覚えていないや」を使った、この動画が、

なかなかに良く出来ていた。クレヨンしんちゃんです。

もしかするとこの家族は、日本のもっとも一般的で、

本当に無邪気に幸せだった時代を描いた、家族かもしれない。