『首無の如き祟るもの』 三津田信三

首無の如き祟るもの (ミステリー・リーグ)首無の如き祟るもの

2作目より、1作目の雰囲気に近いと感じた。

というより、1作目と2作目の間くらいで、ちょっと1作目寄り。

ミステリー+ホラーの醍醐味を十二分に楽しめた。

謎の「首無し」という存在に対する恐怖。

古き伝統の残る村の、民俗要素による恐怖。

その恐怖を取り除くための謎解きが、新たな謎を生み出してしまう。

また、この小説の構造が特殊で、

事件とほとんど関係のない人物の語りというより、手記で進んでいく。

そのために明らかになる、ラストの推理により、

このために、このような書き方にしたのかと、唸ってしまった。

人はやっぱり人を見分けるには顔で判断する。

指紋であったり、良く知る者同士なら、

それ以外でも判断できるだろうけど、

顔がなければ、首がなければ、わからない。

首無しの恐怖であったり、トリックは、効果的だった。

色々な意味で。

この本はシリーズ3作目だけど、主役不在?

途中で、間違いなく居たには居たのだけど。

最後の彼は……

最後まで、謎に満ちる不気味な話だった。

シリーズ過去作品感想リンク

『厭魅の如き憑くもの』

『凶鳥の如き忌むもの』