「耳をすませば」
耳をすまして聞こえてくるのは、工場のガシャガシャした音だったり
車の音だったり、人々の五月蝿い声だったりするけど、
この映画のような町だったら、
鳥の鳴き声や、風邪の音、静かな波音なんかが、
聞こえたりするんじゃないかと想像できる。
この頃ジブリの映画をテレビで見ると不思議な感じになる。
初めて見たときは子供だった。
やがて少年へと変わり、今、大人と子どもの間で揺れ動いている時期にきている。
20歳になってもモラトリアムが終わらない。
だけど感性は、確実に今までと変わってきている。
「耳をすませば」は、そんな僕の感性を奮い起こすジュブナイルな映画だ。
当時からこっぱずかしい映画だったが、今見ても赤面しそうになる。
中学生でも主役の2人みたいなやついそうにないが、
大人でも、こんな恥ずかしいやつはめったにいないだろう。
その恥ずかしいをより促進させるのは「カントリーロード」
カントリーロード この道 ずっと行けば
あの街に つづいてる気がする カントリーロード
帰りたいとは思うが、もう二度と帰らないと決めた。
いつでも、その道の先にあるものを求めているが、
戻ってはいけないことを知っている。
まるで、今の自分が子どもの頃。
雫と聖司の年の頃への憧れを歌っているようにさえ思う。
ああ~だからジブリの映画は大人にも人気があるんだと、思った。
永遠のモラトリアム、永遠のジュブナイル。
映画の中だからこそ許される至福の時間。