「9 Songs(ナイン・ソングス)」
よく、セックス・ドラッグ・ロックンロールというけれど、
それもありだなと、映画を観て思ったりもした。
ドラッグは、どうかと思うが、
愛という劇薬に溺れるとでも考えればいいのか。
基本的に、セックスと音楽のライブシーンだけの映画です。
あと少し、南極。
南極にいる男が、恋人との情事やライブを思い出すだけ。
ただ、それだけだけ。
特に重要な出来事があったわけでもなく、
胸に響く言葉が残るわけでもなく、
男が思い起こすのは、魂を揺さぶるようなUKロックと
体を重ね合わせ感じた、肌の感触や臭い。
女の魂に触れるように、心を合わせるように
感じた瞬間があっても、所詮は人は個別。そんな印象を受けた。
ユルイと言えばいいのか、ごく普通の日常を描いたというのか。
ただそこに自分がいて、誰かがいる。
親密なようで、隔離されているようで、閉鎖的な空間。
歌われるのは、愛の唄。孤独の歌。
音楽が響きあい人々に影響を与えるように
彼女と繰り返された、愛の儀式は、
彼に強い心の慟哭を与えたのか。それとも孤独を与えたのか。
真っ白で極寒の大地が、彼の心情を表しているようだった。