『エイト 1巻』 楠みちはる

エイト(1) (ヤンマガKCスペシャル) [コミック] / 楠 みちはる (著); 講談社 (刊) エイト(1)

久しぶりに本屋の漫画新刊コーナーを見てみたら、楠みちはるの新刊が出ていた。

湾岸ミッドナイト』ではなく新連載物。いつ終わったんだろう湾岸は。

音楽物での連載だなんて、とうとう車物でなくなったんだなと何気なく通り過ぎたけど

書店内をふらふらしてるうちに、気になって気になってついつい買ってしまった。

内容は高ジャズミュージシャンだった祖父に育てられたエイトが、

中学時代の同級生と再会し、彼のバンドで参加していくいう高校生のドラマ。

エイトと、その同級生だったギタリストのニーナが主役のようだ。

エイトは、人前でギターを演奏したことがないということから、

バンドに参加していき、音を合わせるという点とか

音楽の初期衝動的なアプローチが、新鮮で面白い。

他にも個人的に興味が沸くのが、そのバンドのボーカルが

60・70年代のUKロックマニアというところ。ストーンズ好きの。

そんなやつ、自分の10年前の高校生の頃だっていなかったけど、

今は古いロックもパソコンで一発で見られるので、

そういうのもアリかなとも思う。

はっきりいって、売れる漫画じゃないかなと思う。

僕は親父が持っていた『シャコタン☆ブギ』や『湾岸ミッドナイト』を

読んで育ったので興味が沸いて買ってしまったが、どの層が買うんだろう。

だけども、この漫画すごい好きだ。

そして僕の好きなのって、大体売れないのだ。

だいたい僕の好きなのって最近気づいたのだけど、

作り手が好きで好きでたまらないって気持ちを押し出したものばかりで、

あんまり相手側のことを考えていなかったり、

古すぎて、現代に対応していなかったりしてるものばかり。

ちなみに僕も高校の頃ストーンズを友人に勧めたことがある。

絶対カッコイイから、聞けば好きになってもらえると思ったけど

現実は、そんなわけにはいかなかったりもする。

なんか書いててカッコつけてる気がする自分。

漫画の中でUK好きのボーカルが語っている。

オレはノスタルジー

古いUKロックが好きとゆーわけじゃないのよ

60年代後半から70年代のロックが

楽曲として一番カッコイイと思ってるんだよ

以下略

知ったときがオレにとって新曲であり

今の楽曲よりそっちの方が

カッコイイと思っている。

その通りなんだよな。そしてそう思っている人たちが少なからずいるから

まだ、新しいジャンルのものを見たり、聞いたり、読んだりしている。

でも、現在進行形で売れている方が正しいんだろう。

音楽のジャンルでいえば、売れている人って

意外と古いミュージックを聴いているし、大ファンとか言ってるのに

そこから一見かけはなれているような音楽をやっている。

でもよく聞いてみると、細かいところに自分の大好きだった

ルーツ音楽的な要素が入っていて、そこを上手く大衆向けに

いわゆるポップに昇華させていたりする。

そこを削っていくと、本当に作り手の好きなところが見える気がする。

よく最近の曲なんてと小言を言いたげな音楽好きがいるけど、

いやいや、そうじゃないんだと思えるようになった。

誰か忘れてしまったけど、比較的若いバンドの人がいっていた、

古いロックだったか、誰かを指してか定かではないんだけど

そういった音楽を聴いていた人と、自分は似ているので、

自分が作った曲は気に入ってもらえると思う。

みたいなことを言っていた。

特定なものを好きでいた人同士って、そういうところはあると思う。

きっと、この漫画は作者そういう漫画を描いているのだと思う。

自分とよく似た音楽好きに、何より自分自身に。

この漫画が売れてくれると、面白いなぁ。