「ブライアン・ジョーンズ ストーンズから消えた男」

ブライアン・ジョーンズ ストーンズから消えた男 通常盤ブライアン・ジョーンズ ストーンズから消えた男

幸せは退屈なんだ。

ブライアンが、そう呟いて、物語は締めくくられる。

幸せも退屈も、定義は人それぞれなんだろうけど、

ブライアン・ジョーンズという人物の一生は、

退屈などではなく、スリリングで波乱に満ちて、謎が残る。

だからこそ、60年代も知らず、

ブライアン・ジョーンズをリアルタイムで知らない僕が、

とても惹かれるのだろう。

そして、ローリング・ストーンズという

現代にも君臨する、ビッグバンドの元リーダーで

バンドの創立者、幾多の楽器を天才的に使いこなし、

スキャンダルにまみれた一生を送ったという伝説。

そう成りたいと憧れるが、成りたくはないという

矛盾な思いを、この映画を通してブライアンに持った。

一応、ストーンズのバンドメンバーの伝記的映画なので

ストーンズの音楽が、多く使われたりするんだろうって

思ったが、そうでもなかった。

でも音楽は、ストライプスが使われたり、

「NOT FADE AWAY」が印象的でなかなか良かった。

セックス・ドラッグ・ロックンロール。

まさに、この3つを前面に打ち出したような映画で、

これが、60年代だったんだろう。

ドラッグなんて言ったら、当時も禁止だったけど、

今なんかでは、もっと風当たりが強い。

僕個人としても、ドラッグ最悪、

という気持ちの持ち主なんだけど

あの時代で、ロックンローラーがやるなら、

そういうものなんだよなと、どこか関心してしまう気持ちもある。

自分にないものを持つカリスマに憧れる。

心のどこかで、嫌悪を抱えながらも。

だけど、その嫌悪を飲み込む光や闇を持つカリスマに。

だけど、この映画はカリスマの映画というより

ブライアン・ジョーンズという人間の映画だった。

そう、カリスマである前に人間なんだ。

そんなわかりきっていることを、簡単に忘れてしまう。

それが、一般の聴衆なんだろう。

だから、チャップマンのような人物が出てくるんだろう。

確かに、世の中には、多くの偉人がいる。

神様と呼ばれる人もいる。

だけど、彼らも人間なんだと改めて感じさせられた映画だった。

それに、神だって、酷いことをしたり、

自分勝手だったり、する話がいっぱいある。

夢や、希望を、生きがいを与えてくれさえすればそれでいい。

そして、願わくば平穏を。

僕にとって、平穏こそが幸せなんだ。

そう心から願っているのに、

眠りの中限定でも、波乱に満ちた人生を待つ自分がいたりする。

自分の本当の答えは、いまだにわからない。

だから、とりあえず今は、カリスマを待ち続けている。