『レインツリーの国』 有川 浩
例えば、1冊の本を、100人の人が読んだとする。
その読み方は、100通りあって、
100通りの感想があって良いと思う。
1冊の本を、ある男は、主人公の男の視点から読み、
ある女はヒロインの視点から読んだ。
どんなものだって見方や、受け取り方は、千差万別なんだろう。
たぶん、この本もたくさんの感じ方があるのだろう。
そして僕は、この本の感想を書いている。
世界で唯一、何も負担に思わずに、
誰にも引け目なく、振舞えるあの国のように。
今回僕は、ヒロインの視点に立って読んでいた。
僕自身、弱い人間であるし、
まあ、基本的にフェミニストなので。
主人公には、言いすぎだぞって、思えるところもしばしば。
でも、気持ちもわかるところもある。
僕は、ふらふらと主体性のない
カメレオンみたいなとこがあるから、
こう気持ちがブレない人が、羨ましく、強いなって思う。
そして、主人公とヒロイン。二人の関係を
絶対にやりたくないし、認めたくないのだけど、
正しいんだろうなって思えた。
なにかを掴み取るためには、痛みを伴わなければいけない。
逃げちゃダメだってこと。
二人で、手探りで歩いていこうとする。
すごい、かっこよかった。
受け止め方は、たくさんあっていいのだけど、
そこから学び、前進しなければ。
本当に、大事だと思うことなら、なおさら。
大事なものが、このレインツリーの国に詰まっている。