『砕け散るところを見せてあげる』 竹宮ゆゆこ
真っ直ぐな少女の視線の先に何があるのか。
「つまり、UFOが撃ち落とされたせいで死んだのは二人」
こんな一文から小説はスタートした。
SFは久しぶりだなと思わず購入してしまった。
まだ未読のハインラインの『輪廻の蛇』という小説がまだ家に積んであるのだが、
どうにも仕事以外で頭を使っていたくない。
海外小説は世界観や人物関連図が最近頭になかなか入らず疲れてしまう。
まあ、そうんなことはどうでもよいとしてUFOの物語を読んでみた。
実際にはUFOの話ではなくSFでもなく、ボーイミーツガールの王道であり
ミステリー小説であった。
なんとなく物語の全貌が掴めたような掴めないようなもやもやした気持ちで
全て読み終えると違和感がものすごく残る。
頭を使いたくないと、何も考えずに読んだ自分が悪いのからなのか。
不思議な感覚のまま、もう一度読んでみると
最初に読んだ時にわからなかったところや、気付かなかった部分が出てきて
まるでパズルを組み立てるようで面白い。
また、UFOの表現の場面やさらりと最初は読み流した場面が
鮮やかな色彩を帯びてくるかのように感じた。
この物語はUFOの話で、恋の話で、家族の話で、ヒーローの話だ。
砕け散ったもののは何だったのか。
是非ともオススメしたいのだけど
メタファーや叙述トリックが懲りすぎていて人にススメにくいのだけど
自分のような物好きというか本好きに読んでほしい一冊だった。