『対話篇』 金城 一紀
美しい国は、終わったかもしれないが、
美しい物語なら、まだまだ終わりはしない。
人との対話から生まれてくる、感情。
一瞬なのか、永遠なのか。
とにかく、その対話をきれいに切り取って飾ったような、
美しい物語だった。
「恋愛小説」「永遠の円環」「花」
3つの短編から構成される物語は、どれも印象深かったが、
やっぱりラストの「花」は格別だと思う。
まさに対話篇というのがピッタリくる。
人との対話、そして自分自身の心との対話。
明日に繋がる何かが見えてくるような話だった。
美しいと思える何かを、
ハッピーエンドでも、そうじゃなかったとしても、
綺麗ごとだったとしても、求めることは悪くないと思う。
今居る位置から、一歩踏み出そうとする心粋は、
わからないでもない。
それに振り回される人たちも、
何かを得たり、気づいたり、思い出したり、
決して悪いことばかりじゃなかったんだと思う。
綺麗に終われるか、ぐちゃぐちゃにされるか。
やっぱり結果にこだわる人もいるが、その過程も大切だと感じた。
だからといって、アレで、こんな結果はないよな。
と、この小説の感想以外のものを、ちょっとタイムリーに感じている。