『フライ、ダディ、フライ』金城一紀

フライ、ダディ、フライ フライ、ダディ、フライ

めずらしく現在進行形なヒット作の小説を買いました。

映画は、さすがに終了したとこも多くありますが、

小説でなら、まだまだ読めるチャンスがあります。

映画を見逃した人は、本を読もう!

実は、僕も映画を見逃した一人です。

おっさんの成長を見守るのがおもしろいです。

成長の話といえば、子どもか思春期くらいの少年とか、

よくて青年がほとんどだけど、

これは、おっさんの話。しかも47って…

でも、スンシンら、若さ溢れる少年たちのおかげで、

この文体のように明るく、ポップです。

相変わらず、多くの映画を引き出すところを読むと、

やっぱりこの人は、映画好きなんだなと感じる。

「GO」「フライ、ダディ、フライ」と映画化されたけど、

あまりつまらなかったという話を聞かないところを注目すると

作者もうれしいだろうと思う。

おっさんもいいけど、やっぱりスンシンがいい。

在日ってことは、作者もそれだけ力を入れる要素を持つキャラですし、

強さに加え、弱さも秘めている…と思う。

「敵ばかりじゃないよ」というおっさんの問いかけに

「ああ」と答えたスンシンが印象的だった。

この小説の世界は、厳しいし、嫌なやつらもいる、

だけど、良い奴らもたくさんいる。すばらしい!

こんな世界に飛び込んでいきたい。

両手を広げれば、翼も生えてきそうな、おっさんの飛ぶ姿を想像した。

どうしても、この表紙のおっさんの顔じゃなくて、

堤さんをイメージしちゃうけど…

殴られるし、血もでるけど、さわやかなお話でした。