『金子達仁 ベストセレクションⅡ「伝説」』 金子達仁

金子達仁ベストセレクション〈2〉「伝説」金子達仁ベストセレクション〈2〉「伝説」

新聞や雑誌、もちろんテレビも含めて、

スポーツニュースが昔から好きで、

ヒーロー達の活躍に胸躍らせていた。

でも、そんなヒーロー達の表に出てこない苦悩。

そういうことが滲み出てくるような

スポーツライター金子達仁さんが書いた、過去の作品集。

金子達仁と言っても、正直僕は、あんまり知らない。

せいぜいサッカーの記事をたくさん書いている人くらいだ。

スポーツの記事を読むのは、好きだけど

はっきり言って、書いている人に注目してるわけでもない。

他にも、ミュージシャンや俳優の記事なんかにしろ、

書かれる対象は食い入るように見るが、

書いている人には、ほとんど目もくれていない。

だけど、こうやって一人のライターの書いた作品集を見ると、

注目する点や、対象との交友関係、入れ込み具合、人柄、

そういうもので、やっぱり作品の出来が違うものだと、

当たり前すぎることに対して、思い知る。

そして作品の内容は、伊達公子の18歳の頃や、

アトランタオリンピック、フランスワールドカップの頃の

川口能活や、中田英寿などと、もう10年ほど前の作品だった。

僕の記憶にないものや、薄っすらとしか残っていないもの、

あの選手のかつて、知らなかった素顔。

とりわけもう引退してしまったけど、

現在、スーパーサッカーに出ている小倉隆史の記事、

「あの階段の彼方に」

すごい選手だったが、ケガでボロボロになってしまった。

そんなことくらいしか僕は知らない、ケガ後のプレイしかわからない。

小倉と言ったら、無駄にハイテンションとしか思えないような

ニュースでの解説くらいだ。

でも、一発でそんな小倉への見方が変わってしまうような、

金子さんも、自分で最も好きなと語る作品。

やっぱり、素晴らしい記事で伝えてもらうと、

テレビや写真の映像だけでは、伝わらない、

取材対象への本質のようなモノに触れるような感覚がした。