『The Book―jojo’s bizarre adventure 4th another day』 乙一(著), 荒木飛呂彦 (イラスト)

The Book―jojo’s bizarre adventure 4th another dayThe Book―jojo’s bizarre adventure 4th another day

初めてジャンプで読んだジョジョは4部だった。

猫草と吉良吉影の攻防だった。

その当時、僕は吉良を主人公だと思っていたのだと思う。

だけど、吉良吉影は4部のボスキャラのようなものだった。

そして、主人公達と吉良の最終決戦へと流れた。

その展開は、幼い僕には衝撃で、

そんな思いもあるからか、ジョジョでは4部が一番好きな話になる。

この小説は、そんな漫画『ジョジョの奇妙な冒険

第4部のノベライズ版。

漫画の作者は荒木飛呂彦

アメトークでも、ジョジョの奇妙な芸人という企画が行われるなど、

熱狂的なファンを持つ作品だ。

この漫画を、同じジャンプ主催の小説大賞出身、

乙一が小説に仕立て上げた。

読んでみると、作者がジョジョ大好きなことが伝わってくる。

細かく凝った描写とか台詞とかが、妙にジョジョっぽくて、

二次創作ならではの、わかる人にはわかる面白みがある。

パンを食った枚数とか、鉄塔で暮らす人物とか。

そして、原作を壊さないようにと苦心したことがわかる展開。

そんなジョジョの要素満載ながら、

過去僕も読んだことがあるが、作者の小説の雰囲気も見事に出している。

ジョジョ乙一も両方好きな人にはたまらない。

原作と自分の作風をミックスさせる。

そこに、痺れる、憧れる!

でも、両方を知っているだけに、どっち付かずな感じも否めない。

これが、ネットに落ちている単純な二次創作だったら、

絶賛されているだろう。

でも、これは1500円という定価で売り出されている、

公式なジョジョのノベライズ、二次創作である。

ジョジョファンの多くの人は買っただろう。

僕もその一人であるし、ものすごい期待を持っただろう。

だから、けっこう不満という意見も多い。

でも、僕は満足だ。

今は、岸辺露伴の短編でしか読めない、

4部の先の話が読めたと思っているから。

荒木飛呂彦の作った作品ではないけど、

確かにジョジョの奇妙な冒険を感じられたので。

杜王町に宿る黄金の精神を。

何かを、大切な事を守るための心を。