『アルゼンチンババア』
○○ババアという表現は、どこも同じなんだろうか。
僕が幼稚園だった頃も、○○ババアと噂されていた人がいた。
幽霊とか、妖怪みたいだろうだと思っていた僕は、
知らないおばさんから、道端で声をかけられた。
ひどく動揺したのだと思う。
その言葉は、○○ババアが、よく口にする言葉との噂のものだった。
今となると、声をかけられたのも、自分の妄想だったかもしれないが、
そのことは、あんまり覚えていない。
ただ、そんなことがあった気がした。
アルゼンチンババアを見たら、急にそのことが頭に浮かんだ。
この映画は、よしもとばななの小説を、役所広司、鈴木京香、堀北真希
というキャストで映画化したもの。
何気にココリコの田中直樹も出ている。
派手さはないけど、じんわり来る。
人の心の移ろいをあったかく描いている。
アルゼンチンババアは、徹頭徹尾そのまんま変わらず
曼荼羅の真ん中で超然として座っているようだった。
ある意味魔女のようで、何事にも動じず、すべてわかりきっているよう。
色々あるけど、最終的には悪くなることなんてないよとでも
いいたげに、不気味だけど美しい。
と思えるのは、僕が鈴木京香好きだからだろうかな。
みんなが嫌えるような人間などいない、と思える映画だった。
ただ、まったく回りが見えていない子供だけはね・・・
バカでマヌケで純粋すぎて悪意の塊にも見えてしまった。
おそらく、幼稚園の頃○○ババアの噂に一喜一憂していた、
僕も同じだったんだろう。
記憶だと、○○ババアに声をかけられた僕は、
すぐさま逃げてしまった。
うわ~!出たっ~、とかそんなことを言ったんだと思う。
後々、昔あんなことあったねと友達と話をしたいた時、
その○○ババアのことが話題に出たとき、
昔子どもを亡くしてしまい、痴呆になってしまったという話があった。
あの日の僕は、バカでマヌケでどうしようもなかった。
そんなことをその時思った。
それと同じことを、この映画でも思い出した。