『ブギーポップ・クエスチョン沈黙ピラミッド 』上遠野浩平

ブギーポップ・クエスチョン沈黙ピラミッド (電撃文庫 か 7-21)ブギーポップ・クエスチョン沈黙ピラミッド

久しぶりのブギーポップ本編なわけなのだけど、

まるで進展していない・・・

完結させる気などなく、ライフワーク的なものとして続けるのだろうか。

そうだとしたら、新しい読者を開拓しないと、

こういう分野の小説ではきついのでは?

昔から読んでた僕でも、そろそろ続けるのが危うい。

それとも『酸素は鏡に映らない』で、

けっこう新しいファン層を得たのかな。

酸素はなかなかおもしろかった。

と、話は進まなくて、時間列的にはシリーズ2作目の

イマジネーター辺りなわけなのだけど、

これが、久しぶりにブギーポップ本編でおもしろいと思えた。

前作の『オルフェの方舟』で、

最近、満足できないと僕は言っていたけど、

今回は、おもしろかったし、印象に残る。

ヒドイ事を言うけど、前の2作ほどはあまり憶えていない。

そう考えると、今回は物語は進まなくて、

まさにピラミッドの中二階で足踏みしているような話だけど、

そこを広く見渡すと、これがおもしろい。

『パンドラ』が、かもし出した雰囲気にとても似ている。

まぶしかったのを、今でも憶えている。

はっきりと、昨日のことのように脳裏に刻まれたままだ

今作のエピローグでこんな言葉がある。

友情のようなという、曖昧ではあるけど、

確かに絆のようなものがあって、日常が輝いていた話。

『パンドラ』は僕が、ブギーポップの中では、

かなり好きな話の一つ。

あの頃からブギーポップの世界に囚われている。

僕は、初めてブギーポップを読んだ時からだいぶ時間が過ぎた。

だというのに、ブギーポップは若返るばかり。

表紙の絵なんて、どこの幼女かと思えてしまった。

僕らが、年をとって、おっさんになっていっても、

ブギーポップのキャラたちは、あいも変わらず、

若いままで動き回っているんだろうか。

やっぱり、若い内にこういう話は読んでおきたいので、

語られぬもの、巨大な謎として残らないように完結してもらいたい。

沈黙されたままで、終わらせて欲しくなんてない。