『夏期限定トロピカルパフェ事件』 米澤穂信

夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫) 夏期限定トロピカルパフェ事件

 

早くも地元に2回目も帰っている新社会人のブログへようこそ。

春も過ぎて、夏だクールビズ始まるぞって時期なのですが、

風が冷たく、最近妙に寒い。

でも、心は夏に向かい『夏季限定』と名の付く小説を読んでみました。

小鳩君と小佐内さんのある夏模様。

鍵を握るのは小佐内スイーツセレクション・夏。

それだけ見れば、とってもスイーツな話かと思える。

実際、ほぼ恋人同士みたいな二人の夏休みの出来事。

話は夏の話のいくつかの短編で出来ているのだけど、

最後の話を読み終えると、恋人のような甘い夏休みが、

まったく違った形で見えてきてしまう。

短編集のようで、完全たる長編。

そのための鍵となるのは、やはり小佐内スイーツセレクション・夏。

前作の『春期限定』から、かなり話が深まってきて、

断然面白く感じられた。

続編決定しているのだけど、読み終えた時はそのことを知らなくて、

まさか、こんな終りかたとは……

と、予想できていたとはいえ、ショッキングだった。

タイトルからすれば、残りは「秋季」と「冬季」

ここからが、作者の腕の見せ所になると思う。

これまでは、小市民を目指す二人の話だった。

そして、今後はどうなっていくのか。

やはり、小市民を目指すか、自分の本質を認めるか。

さらに、二人の関係性がどうなっていくのか、

推理物としても楽しめるが、人間ドラマとしても気になってしかたがない。

夏が待ち遠しい。

シリーズ過去作品感想リンク

『春期限定いちごタルト事件』