『東京奇譚集』 村上春樹

東京奇譚集 (新潮文庫 む 5-26) 東京奇譚集

久しぶりの村上春樹作品。

自分がタイトルから期待していたような、摩訶不思議な話ではなかったが、

不思議であり、偶然が連なるような話だった。

「偶然の旅人」

「ハナレイ・ベイ」

「どこであれそれが見つかりそうな場所で」

「日々移動する腎臓のかたちをした石」

品川猿

という5つの短編からなっている。

好きなのは、「日々移動する腎臓のかたちをした石」かな。

自分の運命の相手と出会うっていうのは、

必然のような偶然のような、惹かれあうことは、

日々移動する心のようにも思えた。腎臓の意味はわかりません。

この辺りまで読むと、もはや、東京関係ない気もしないでもないが、

僕は東京人ではないので、東京を舞台にする必要というか、

タイトルに東京を付けた理由がわからないが、

東京という日本の象徴で、多くの人が生きている地ということで、

偶然の連鎖が起きやすいのかなぁ。

5つとも意味がわからないようなことが多いけど、

偶然なんて、意味のないようなことが多い。

小説は意味を持たせることが普通なんだろうが、

日々の日常は、意味なんて持たない出来事ばかりだと思う。

ただ、それに意味を持たせるかどうかは、その人しだいなんだろう。

通り過ぎていくか、胸に留めるか。

意味が有りそうで、無さそうな、村上さんお得意なメタファーなような。

理解するというより、感じる物語なのかなと思った。