『東京奇譚集』 村上春樹
久しぶりの村上春樹作品。
自分がタイトルから期待していたような、摩訶不思議な話ではなかったが、
不思議であり、偶然が連なるような話だった。
「偶然の旅人」
「ハナレイ・ベイ」
「どこであれそれが見つかりそうな場所で」
「日々移動する腎臓のかたちをした石」
「品川猿」
という5つの短編からなっている。
好きなのは、「日々移動する腎臓のかたちをした石」かな。
自分の運命の相手と出会うっていうのは、
必然のような偶然のような、惹かれあうことは、
日々移動する心のようにも思えた。腎臓の意味はわかりません。
この辺りまで読むと、もはや、東京関係ない気もしないでもないが、
僕は東京人ではないので、東京を舞台にする必要というか、
タイトルに東京を付けた理由がわからないが、
東京という日本の象徴で、多くの人が生きている地ということで、
偶然の連鎖が起きやすいのかなぁ。
5つとも意味がわからないようなことが多いけど、
偶然なんて、意味のないようなことが多い。
小説は意味を持たせることが普通なんだろうが、
日々の日常は、意味なんて持たない出来事ばかりだと思う。
ただ、それに意味を持たせるかどうかは、その人しだいなんだろう。
通り過ぎていくか、胸に留めるか。
意味が有りそうで、無さそうな、村上さんお得意なメタファーなような。
理解するというより、感じる物語なのかなと思った。