『神様のパズル』 機本伸司

神様のパズル (ハルキ文庫)  神様のパズル

小さい頃から理解できないことばっかりだった。

理系の話は、昔からわからないことだらけで大嫌いだった。

あまり鮮明に覚えていないが、理科の授業の中で、

ある現象に対する解説がされていたが、これは決まっていることだと言う。

そういう方程式のようなことばかりを聞かされて、

なぜ、そういった方程式が成り立つのか不思議でたまらなかった。

それらの疑問を先生に言ってみたら、そういうものなのだよと教えられた。

今考えると、突き詰めていけばわかることなのかもしれないが、

とんでもなく難しいことを聞いていたのだと思う。

でも、僕は結局現象のことばかりを覚え、その理由はわからないきりで、

わからないから、理系という分野を嫌いになってしまった。

神様のパズルを読むと、そのことが思い出された。

それと同時に、知ることを諦めてしまった悔しさを思い知った。

たぶん、僕のわからないことは、突き詰めると、

神様という存在にぶち当たり、神の問題集を解くようなもの。

そう思い出した、なぜ生物が生まれたのか。

生命を構築する物質は、どうやって体に成り立ったのか。

宇宙はなぜ起こったのか。

それこそ、神様のパズルを解くようなもの。

この本は、理系の青春小説のようなものだったが、

僕の長年の疑問にある意味、答えてくれていた。

単なる理系の話だったら、僕はわけわからないで終わっていたと思う。

ただ、青春小説であり、人間ドラマだったから、

僕が生きていく上でのこの神様の複雑極まりないパズルを、

答えこそくれないものの、これでいいのだと言ってくれるものが見られた。

わからないことは山ほどある。ただ人生わからないことだらけだ。

本当のことをわかりえることの方が少ないかもしれない。

もし、知りうることができたら、僕の世界はどうなるのだろう。

大きく広がるのか、それともちっぽけなものだと思うようになるのか。

もし、神様がいるのなら、こんな不思議な世界を作ってくれてありがとうと言いたい。

世の中、わからない不思議なことばかりで、思うようにいかないので

楽しく、学ぶことが出来て、面白いものになっているようだ。