『タイムスリップ森鴎外』鯨 統一郎

タイムスリップ森鴎外 (講談社文庫) タイムスリップ森鴎外

森鴎外がタイムスリップして現代へと!?

森鴎外といったら、高瀬舟舞姫の2作しか知らなくて、

医療と文学の人というイメージ。

現代に溶け込む鴎外がそんなイメージを改変させる。

多くの文学作品の作者やタイトルが出てきて、

ミステリーも交じり合う、文と学の物語だった。

なにごともノリと適応力と言わんばかりに、

現代に馴染んでいく鴎外が、見ていて面白かった。

この作者の作品は2作しか読んだことがないけど、

あっと驚く、とんでもミステリーを仕掛けてくれるので、

今回のタイムスリップした文豪を交えて、

独自に解釈する推理は面白かった。

まあ、絶対こんなことはありえなかっただろうけど、

一種のパラレルワールドとする考え方は、

この作者の小説を書く姿勢と通じるものだと思う。

何度も言うが、まだ2作しか読んでないけど。これで3作目だけど。

そして独自の解釈による、新たなパラレルワールドでの文学史の新たなページは、

とてもロマンに溢れたモノで、ここまで持ってきたかったんだろうなと思った。

文章力はキープ力。カタルシスはゴール力。

文と学の物語。

ここはパラダイス。誰でも本を読んでいる素敵な場所。