『クドリャフカの順番』 米澤穂信
古典部シリーズの第三弾。
これまでのシリーズでずっと名前が出ていた、
カンヤ祭。いや、神山高校文化祭が行われる。
これまで、主人公の奉太郎のみの語りで物語が進んでいたが、
今回は、古典部メンバー4人の語りで物語が進んでいく。
4人のそれぞれの心情が見られて、それは楽しくもあり、切なくもあった。
おそらく、第一弾の『氷菓』からあったであろう、それぞれの人物の葛藤。
とりわけ、いつも活動的で、このシリーズでいう薔薇色というやつに
一番近いと思っていた人物。
福部里志のその思いは、なかなかに複雑だった。
『愚者のエンドロール』でも垣間見れたが、
今回ほど彼の決まり文句
データベースは結論を出せないんだ
この言葉が、これほど寂しく聞こえたことはない。
そういった、切ないエピソードが印象的だけど、
物語は、これまでにないほど面白く楽しい。
文化祭が舞台なのでお祭り騒ぎで、楽しいエピソードばかり。
里志の、数々の文化祭イベントでの対決であったり、
奉太郎の、わらしべ長者物語であったりと、
文化祭は退屈など感じさせない。
さらに、メインエピソードとなる怪盗十文字による、連続盗難事件。
4人のエピソードがパズルのように組み合わさり、
それぞれが、それぞれの役割を持って謎を追っていく。
さらには、奉太郎の姉も満を持しての登場。
文化祭の話だけあり、お祭り騒ぎであり、
盗難事件の結末は、祭りの後のような静けさが感じられた。
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