『疾走』 重松清
疾走
言葉がなければ、傷つかないかもしれない。
言葉がなくても、寄り添うことはできる。
この小説は、読んでるだけで、辛くなる言葉が、たくさんつづられている。
聖書の言葉でさえ、救いのない言葉に思えてくる。
押し寄せてくる言葉の波に、潰されそうになる。
ナイフのような鋭い言葉に、切り刻まれている気がする。
誰か一緒に生きてください―――。疾走続ける少年を語り部が、見守り続けている。 一人でいい、一人はいやだ、独りじゃない。 やがて、少年は疾走をやめる。 だけどどこかで、誰かが疾走を続けいる。 酷く悲しくて、酷く救いがなくて、とても優しくて・・・ 人は、みんな弱いから、誰かと繋がっていたくて、 みんな、病んでるんだよね。 そんな弱い人間だった、少年の軌跡。