『1Q84』 村上春樹
2つの物語とメタファー。
『海辺のカフカ』や『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』
という過去の村上さんの作品と骨組みが似ているなというのが率直な感想。
色々と複雑すぎて何を感想として書けば正解なのかもわからないし、
全体を通して村上春樹が何を書きたかったのかもよくわからない。
文学というほど高尚な物語でもないし、
エンターテイメントというほど、娯楽に満ちた物語でもない。
さらにいってしまえば、この2冊で本当に1Q84が終わったかもわからない。
考えれば考えるほどわからないし、
頭を真っ白にしてただ文字を追って行くだけの物語でもないし、
感想を書くには本当に難しい。
青豆と天吾の2人の物語交互に語られていく形で小説が続く。
2人の関係がいつか交差するんだろう。
その時はドラマティックに物語が彩られると思いきや、
早い段階で2人の物語が交差まではいかないけど、
すでに混じり合っていて関係があるとわかる。
物語に銃が出てくるならその銃は発射されなくてはならない。
物語の中でこんな言葉が出てきた。
チューホフという作家の言葉らしい。
そういえば以前何かで同じセリフを聞いた気がする。
だったら2人の物語があるなら、
それはどこかで交わらなくてはいけないということなんだろうか。
ここから書こうとすると大きなネタバレになるのだから止めておくけど、
この物語は、全てのことに大なり小なり、
何かしらの意味づけが、そうである必要があったという気にさせられた。
物語の謎はまったくというほど解けていないのだけど。
ただ、孤独な2人が強く会いたいと願っていた。
真っ白な純愛の話だったとも思えた。
意味はわからないけど面白かった。
だからこそ、意味を知るための続編を読んでみたい。
関連作品過去感想リンク