『空へ向かう花』 小路幸也
子供という存在は、大人が守らないといけない。
それは間違いなんかじゃない。
だけど、その守るべき子供に大人が守られている。
勇気づけられているってことがある。
なんだかわからないけど、子供にはそんな力がある。
この物語に出てくる主な登場人物である2人の男女の子供。
元気いっぱいなというタイプでなく、
心に傷をおっていて健気さを覚えてしまう2人。
この子供を見ていると、なぜ大人は守ってあげないのかと思う。
だけど、守ってあげないとと思っても、
どうすればいいのかわからないことだってある。
上手くいかないことだってあるんだ。
どうしようもないことだってあるんだって。
それでもなんとかして守ってやろうと心に決めて、
必死にやってやれば子供にだって伝わる。
物語であるなら読者にだって伝わる。
2人の子供を守るために出てくる2人の大人の優しさ、力強さは、
幼いころ僕を守ってくれていたであろう色んな人を思い出させる。
物語に出てくる、この二人の子供をどうにかして
幸せにさせなくてはと動く2人の大人の存在には救いを感じた。
現在はっきり言うと、自分のことだけでいっぱいいっぱいで
他人の世話なんて大層なことなんて僕には過ぎたことなんだけど、
それでも守ってやらなきゃって。
子供は弱い存在からだとか、
可愛いとか純粋とか、その姿や仕草から思うのもそうなんだけど。
子供独有のキラキラした目で見つめられると、どうしても。
その目が薄暗くどんよりしているならなおのこと。
子供の頃の気持ちを思い出すのと同時に、
大人となった今を強く感じさせた一冊だった。