『子どもたちは夜と遊ぶ』 辻村深月
いわゆる殺人ゲームの物語。
謎の人物「i」と「i」を追い求める「θ」の(θはすぐ誰か判明しますが)
のとても不幸な殺人ゲームの物語。
と進んでいくスリリングな物語のはずだけど、
終盤の大きな衝撃的事実に、はっきり言って意気消沈。
こんなことは、リアルさに欠けすぎている。
「i」に関してもたぶん大部分の人がなんとなく想像できると思う。
これはミステリーとやってしまうのはお粗末すぎるので、
個人的に恋愛小説だと今読み終えて思う。
とてもかみ合わない悲運な恋愛のお話。
ミステリーとしては最後の最後で思えなくなってしまうのだけど、
そういうことを抜きにすれば、とても魅力的な物語になっている。
殺人ゲームに関しては、あまりに救いがなさすぎて残酷でも、
ラストには、か細い希望が残っていて、
人の思いっていうのは、とても強いものだと感じられた。
でも、やっぱり儚い。
本当は、とても強く惹かれあっていても、
あまりにもすれ違いすぎてしまっている。
この恋は実らないだろう。
これが実ることは素敵なことかもしれないけど、
とても悲しいことなんだろうと思う。