『子どもたちは夜と遊ぶ』 辻村深月

子どもたちは夜と遊ぶ 上 (1) (講談社文庫 つ 28-3)子どもたちは夜と遊ぶ 下 (3) (講談社文庫 つ 28-4)

いわゆる殺人ゲームの物語。

謎の人物「i」と「i」を追い求める「θ」の(θはすぐ誰か判明しますが)

のとても不幸な殺人ゲームの物語。

と進んでいくスリリングな物語のはずだけど、

終盤の大きな衝撃的事実に、はっきり言って意気消沈。

こんなことは、リアルさに欠けすぎている。

「i」に関してもたぶん大部分の人がなんとなく想像できると思う。

これはミステリーとやってしまうのはお粗末すぎるので、

個人的に恋愛小説だと今読み終えて思う。

とてもかみ合わない悲運な恋愛のお話。

ミステリーとしては最後の最後で思えなくなってしまうのだけど、

そういうことを抜きにすれば、とても魅力的な物語になっている。

殺人ゲームに関しては、あまりに救いがなさすぎて残酷でも、

ラストには、か細い希望が残っていて、

人の思いっていうのは、とても強いものだと感じられた。

でも、やっぱり儚い。

本当は、とても強く惹かれあっていても、

あまりにもすれ違いすぎてしまっている。

この恋は実らないだろう。

これが実ることは素敵なことかもしれないけど、

とても悲しいことなんだろうと思う。