『ねじまき鳥クロニクル』 村上春樹

ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 ねじまき鳥クロニクル〈第2部〉予言する鳥編 ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編

(第1部〉泥棒かささぎ

〈第2部〉予言する鳥編

〈第3部〉鳥刺し男

正直何が、何なのかわからない。

物語もそうだが、タイトルだってそう。

抽象的すぎるというか、比喩や隠喩に満ちているというか。

作者風に言うなら、メタファーに満ちているというのだろうか。

だけど、何が何だかわからないけど、すごい。

わからないのに、物語に引っ張っていく力がある。

おもしろい、おもしろくないで言ったら、やはりおもしろい。

ちなみに、買う前まで「ねじまき島」かと思ってました。

平凡だけど、平凡ではない。

真面目そうだけど、コミカルでファンタジー色も強い。

それが僕の村上春樹のイメージ。

間違いなく高校時代の僕なら手をださない。

まあ、高校時代は本にさえ手を出してませんでしたが……

ともかく、有名すぎる。高名すぎる。

だから、何か理屈があり、一つ一つに何か意味を持たせている気がする。

実際そうかもしれないけど、単に勢いで書いているようにも思える。

だけどやっぱり、何かの意味があるんだろう。

そして、やっぱり僕にはわからない。

みんな徐々に何かを損なっていく。

そしてそれを取り戻すために、戦っていく。

主人公は、逃げないと決めた、戦うと決めた。

ゆっくりでもいいから、それが彼の誓い。

ねじまき鳥が、世界のねじを回す。

彼の世界を回すためには、そこから逃げてはいけないんだろう。

この話の、ねじまき鳥の年代記は不思議な出来事ばかり。

不思議でありえないけど、起こったということは、

やはりありえることで、不思議でもなんでもないことかもしれない。

だけど、物語は現実か夢かさえ区別がつかない。

予定調和だってない。

こうなるとわけがわからない。

村上春樹からのメッセージは、僕には届かなかったようで……

井戸に何日もこもって考えれば、何か見えてくるかもしれませんが。