『神様のサイコロ』 柳川時夫
月面と思える場所から、猫がこちらをまっすぐ見つめている。
見つめる先は、この地球なんだろう。
一体、この世界をどう見つめているのだろうか。
この本は毎日新聞のコラム「余禄」をひとまとめしたもの。
2004年4月~2006年3月までのもの。
新聞ということで時事ネタがこの内容。
これらを、約700文字で1つの文章としている。
時事ネタというと、新聞特有の堅いイメージばかりがある。
そういうものを僕は、正直好んで読みはしない。
そんな僕が、なぜかこういう本を買ってしまった。
というのも、この人の話が上手いからだ。
このコラムは絶対、時事ネタから入らない。
まず冒頭に来るのは、様々な例え話や、古き物語、格言などなど、
興味をそそるものばかりが並ぶ。
親しみやすいコラムなのだ。
僕らくらいの年で、新聞を全部読む人は多くない。
むしろ、新聞を読む人自体少ない。
僕なんかもその一人だったりする。
だけど、新聞の一面で、まず興味を引く文章を持ってくる。
そうすれば、続きが気になり読んでしまう。
文章の力、言葉の力は偉大だ。
タイトルからも連想される「神はサイコロを振らない」
というアインシュタインの言葉がある。
これは、このコラム中でもとりあげられていて
神が意図しない偶然は、この世に存在しない、という意味だ。
世の中は、もうすごく複雑で、
神様が主役だった時代からは想像もしない物が溢れているだろう。
神様は、今のような時代を意図していたんだろうか。
それとも、神がサイコロを振って現われたような世の中なのだろうか。
こうして振り返ると、たかだか2年ほどだけど、
色々なことが世の中に起こっている。
毎日は、慌ただしくも動いているようだった。