『世界でいちばん幸せな屋上 Bolero』 吉田音
世界でいちばん幸せな屋上 Bolero―ミルリトン探偵局シリーズ〈2〉
本を読んでいる時間が、たまらなく楽しいひと時だった。
ゲラゲラ笑える話ではなく、クスっと笑えて、いい余韻に浸れる。
ふわふわとした高揚感。
人生を根底から変えるような、すごい物語ではないけど、
温かくて、お洒落で、すごい幸せな気分になれた。
今回もやはり人と人との繋がりの話だった。
簡単に忘れさられそうだけど、しっかりと根付く人との思い出。
思い出を繋ぐ一曲、ニール・ヤングの
「オンリー・ラブ・キャン・ブレイク・ユア・ハート」
今回は、主役が誰なのかわからない話だった。
誰もがその場所で確かに生きていて、
レコードが回るように、物語も人生は巡り、そして回っていく。
もしかしたら今回の主役は、
それぞれの人生という扉に出入りする一匹の黒猫なのかもしれない。
この猫だけは、レコードの針のように、フラフラと回り続けているし
レコード盤の中心に位置するように、
多くの人の真ん中に位置しているように見えた。
円の中心点は、存在するけど
概念上のものでしかないという意見を聞いたことがあるけど
まさに、この猫もそんなあやふやだけど確かに存在した。
というようなものだった。
そしてその中心で、クルクル回っているんだろう。