「武士の一分」

シンプルだけど骨太。

山田洋次監督の、藤沢文学3部作の3作目。

前2作を見た後なら、とりわけ目新しいことはないし

大まかな流れは一緒なのだけど

とてもわかりやすく、丁寧な映画だった

人としての尊厳、武士としての一分を

深く静かに、だけど力強く感じられた。

主演は木村拓哉、ヒロインに檀れい

両方ともすごい存在感があって、とてもよかった。

登場人物があまり多くなく、物語も入り組んでいるわけでないので

なおさら二人が際立ったように感じた。

キムタクはやっぱりキムタクだったけど

悔しいが、男から見てもカッコいいし絵になる。

人物が多くないということから、主要人物たちを多く映していて

ごく一般の下級武士の、小さな自分の世界を守ろうとする

心意気が伝わってくるようで、とても共感を覚えた。

それはやりとりが、現代っぽいことからもあるかもしれない。

時代劇だけど、現代に通じるものがある。

いつの時代だろうと、今に繋がるものがあるから、

僕らにとっては、非日常を送っている彼らのことを

こうして見守るのだろうし、古き時代の映画が作られるんだろう。

映画が娯楽として、そして文化として愛されるのは

そんな非日常を垣間見て、人々の心に通じる一分を

見出すからかもしれないなんて、思ったりしている。