『夜は短し歩けよ乙女』 森見登美彦

夜は短し歩けよ乙女 夜は短し歩けよ乙女

愉快痛快、抱腹絶倒、なんだか不思議な恋愛小説、

現実と妄想を爆走、ロマンチック・エンジンフル稼働!

とでも語りましょうか。

いや~純粋におもしろかった!

同作者の『きつねのはなし』のような世界観も好きだけど、

こんなドリームワールドも大歓迎だ。

物語自体も、それはそれは見事なものでおもしろかったけど

主人公の男がおもしろすぎる。

なんだ、コイツは。

いや、彼に言わせれば主役は「黒髪の乙女」なんだろう。

路傍の石ころで、万年床だと自ら語る男だが、

いやはや、なんという御都合主義。

一歩間違えば、たんなる恋愛ジャンキーのストーカーまがいなのだが、

彼に溢れんばかりの拍手と声援を称えたい。

簡単に物語を語れば、この男が黒髪の乙女に恋をして

なんとか彼女の気を惹こうとやっきになる話。

だけど、彼女はまったくそんな気持ちなどわかるはずもなく

我が道を行くというような、愛されるべき天然キャラ。

男なら彼の気持ちはわからないわけではない。

四章での彼の想いは、僕には痛いほどわかる。

恋愛感情って、ホントによくわからなくなる。

気持ちはすれ違うし、一方通行だったりするし

時に、この気持ちが本当なのかさえわからなくなる。

だけど、やっぱりこの人が好きだって、確信する、理屈なんかない。

そんな瞬間、瞬間の、彼の愛へ向かっての冒険譚。

お見事ととでも言っておきましょう。

PS

この話の四章が、風邪を引くとう話だからかどうか

今日は、朝起きて大掃除でもしようかと考えていたけど

起きてみたら、体がだるく微熱ですが、風邪を引いてしまった。

ああ、「ひとりある身はなんとせう!」