『図書館の神様』 瀬尾まいこ

図書館の神様 図書館の神様

最近、自分の青春なんて終わってるのかな~って暗くなる時があった。

永久に続くと思ったなんてことは、無いって無駄に悟ったり

毎日が慌しく動いていくだけで、後に今を思うと、

ただ、そこにあっただけの日常としか思えないんだろうか。

この話の主人公の清は、元はバレーに青春を賭けていたような人物で

今は教師になり、やりたくもない文芸部の顧問。

部員は垣内君一人。

そこから、物語は再生への一歩を踏み出していく。

僕は、小、中と今では考えられないくらい色黒で

外で遊んだり、スポーツばかりのある意味健全な少年だった。

今では、運動はそこそこするくらいで、ブログを見てのとおり

当時では、考えられないくらい読書をして映画を観たりしている。

すっかり、肌の色も白くなってしまった。

読書は楽しいし、映画も楽しい。

これが悪いことだと、少しも悪いことだと思わないけど

果たして、当時より青春と呼べるものかどうかわからない。

これでいいのかなって、思うことがある。

だけど、昔だってそのひと時を青春だなんて、

これっぽちも思わなかった。

過ぎ去りし日を思うと青春だと今感じる。

これはパクリだけど、誰にだって語るべき物語ぐらいある。

誰かと出会い、泣いたり、笑ったり、好きになったり……

何かをしてみたいと感じること、

つまらないと感じること、楽しいと感じること。

図書館で織り成される、文芸部の活動。

目立ったことはなくても、微かでも、確かに行われた心の交流。

本を通しての、文学というものを媒介とした時間のはぐくみ。

コレって青春なんじゃないと二人が感じた時の思いは、

確かに再生という二文字を感じさせ、温かい気持ちになった。

そして、本を読むことの素晴らしさと、

全然おかしいことじゃないよと、改めて教えてくれた気がした。

そして今、僕が本を読んでいるこの時間を青春なんだと思わせてくれる、

今までにない驚きと、喜びをくれた、僕にとっても再生の話だった。