『フィッシュストーリー』 伊坂幸太郎

フィッシュストーリー フィッシュストーリー

もう一週間以上前だけど、

いつものように本屋のバイトで、新刊入りの箱を開けていたら

中から出てきたのは伊坂幸太郎の新作。

これは、うれしかった。

バイトで好きなものに触れられる。

いつもの単調な仕事が、一気に新鮮さを増す。

今回は、めずらしく短編集だった。

そういえば、『チルドレン』では

短編集のふりをした長編小説です。

と、言っていたが、今回は短編小説だった。

まぎれもなく。

しかし、著者得意の今までの作品が何かしらリンクしている

というところは、健在だった。

著作一覧を見ると、いつの間にか13作のタイトルがずらりと。

ああ、ここまで書いてきたんだなと

他人事ながら誇らしく、そして頼もしく。

もはや、伊坂作品にはずれなし。

そう思えるほど、これまでの作品は好きで

今回の話もとても安心して、楽しく読めた。

「動物園のエンジン」

サクリファイス

「フィッシュストーリー」

「ポテチ」

4つの短編からなる今作品。

短編だからか、今まで感じていた

すさまじいまでの、すがすがしい満足感は得なかったけど

どれも、安定しておもしろく

上手く考えたなって感じられる物語だった。

特に、フィッシュストーリーは中でも特に好きで

一つの物語が、どこか別の誰かの物語に影響しているという

伊坂作品の真骨頂を見た気分になった。

音楽も文学も、たった一つの作品が

世界にまで及ぼすような影響を与えることがある。

そして繋がっていき、紡がれていく。

僕の孤独が魚だとしたら……
次は何を物語るのだろう?

早くも、次の巻が待ち遠しくてたまらない。