『高く遠く空へ歌ううた Pulp town-fiction』小路幸也

高く遠く空へ歌ううた高く遠く空へ歌ううた

サブタイトルにPulp town-fiction.

前作『空を見上げる 古い歌を口ずさむ』の続編となっている。

前作同様、主役は子ども達。

その中心人物は、義眼のためギーガンと呼ばれている少年。

ぼく、また死体を見つけてしまったんです。

これで10人目なんです

そして子ども達は、気づかない内に事件に巻き込まれていく。

まるで虹の彼方のエメラルドの国へ向かうような

きらびやかな遊びと、冒険の話。

とはいえ、この物語の舞台となる世界は意外と狭い。

ましてやPulp townでさえないのだが、

前作の人物も少し出てきていて、同じ世界観になっている。

まあ、前作は、前作で上手くまとまっていて

これ以上の話はいらないと思っていたので、

続編だが、ガラリと人物や舞台も変えて個人的には良かった。

出てくる子どもたちも魅力的で、すごい好きになれる。

特に、ルーピーという子は好きだな~。

とはいえ、ギーガンとルーピー以外の子どもたちは

ほぼ脇役になってしまって、なかなか魅力が伝わらなかったので、

これこそ続編が出て、周りのみんなの話をもっと知りたいと思った。

だからか、前作の方が僕は好きかな。

それと前作は、出来事を説明をしすぎていると感じたけど、

今回は、逆に説明をほとんどしていない。

もうちょっと、教えて欲しいと思うけど、

前作よりは、いいかなって思う。

だってこれは子ども達の話で、子ども達の目線のもので

最後まで、子ども達は子ども達のままで終わるのだから

子どもの目線で見た世界になっていて、

最後まで、不思議な出来事として完結していた。

アレってなんだったのかな?

よくわからなかったし、

辛いこともあったけど良い思い出だよね。

そんな風に子ども達が思い返すような、

どこか懐かしい気がする、物語だった。

読み終えた後、表紙を見ると感慨深い。