『博士の愛した数式』 小川洋子
80分までしか記憶を持てなくなってしまった博士と、
家政婦とその息子の記録。
博士が愛していたのは、数字。
数字は崇高で、何にも替えられないもの。
家政婦と息子にとっては、博士と過ごした時間が何より大切なもの。
僕には、ルートと呼ばれる息子の優しさがこの小説を支えていると思う。
この子の優しさと純粋さが、母と博士を救っている。
大人になっても変わらない心を持つ姿にラストは涙してしまった。
特別なことは無いが、時間はゆったり進んでいく。
博士は記憶をすぐなくすが、その信頼は深まっていく。
その関係は強いものだ、
まるで220と284の友愛数のよう。
そして、彼らの友情は硬く、完全なものへとなっていく。
それは、触れたら崩れそうで、
今にも消えてしまいそうだが、完全なもの絶対なもの。
江夏が身に着けていた背番号28、絶対と呼べる数字のようなものだ。
とっても読みやすい本なので、もっとみんなに読んで欲しい。
数式とあって難しそうと思うかもしれないが、そんなことない。
表紙のイラストのよう、暖かいお話です。
映画化するようですね。博士は寺尾聰、家政婦さんは、深津絵里。
まだまだ公開は先のようだけど、楽しみ。
吉岡秀隆は誰役だろ?ルート君の父役?それだと、ちょい役だな。