『HEARTBEAT』 小路幸也

HEARTBEAT HEARTBEAT

最近何か急激な運動をしたわけでもないのに、

就活の影響からか、寝る時、布団にくるまっていると

自分の将来を考えたり、自己PRを考えたり、

今までのことを振り返ったり、頭の中がモワモワとして

ドクドクと心臓の音が聞こえる。

未だに迷っている。今後の自分のことを。

行きたい場所はあるが、入れるという保障などない。

そんな時も、僕の心はやっぱりドッキン、ドッキン鳴っている。

面接の時なんかも、僕は顔には緊張や心配は出ないらしいが

それでも、心臓はドキドキ鳴っている。鼓動が聞こえる。

面接の人事の人からすれば、僕など何百、何千の内の一人で

取るに足らないように見る人もいるだろうが、

僕の心臓は鳴り続ける、存在証明をするように。

この小説の話も、そんな心の音のことを、信号を

ハートビートと呼んでいる。

私は生きてますよ、大丈夫ですよってさ
届けばいいなって。

かつての恋人と、

10年前の約束を果たすため故郷に帰ってきた主人公。

しかし、約束の場所には恋人は来なかった。

そこには、彼女の夫と名乗る人物がやってきて、

彼女が失踪したと告げる。

主人公は、かつての同級生と共に、その彼女は探す。

約束と再会の物語なのだが、

このハートビートが、かなりのキーワドとなっている。

読んでいると、ミステリー。

それにミステリ・フロンティアのシリーズでの出版なのだが

最後の方で、考えるだけ無駄なんだろうって表現が出たとき

ちょっと落胆したけど、なんだかんだ物語に引き込まれる、

さわやかなファンタジーの要素で溢れた話だった。

幻想的なんだけど、ちゃんと証明している。

色々な人々の間をぬぐって、

ここにあります、ここにいますよって。

幻なんかじゃないだということを、ハートビートで。