『新釈 走れメロス 他四篇』 森見登美彦
○読んだことのある作品
△あらすじくらいは知っている作品
×ほぼ知らない作品
↓
○『三月記』中島敦
×『藪の中』芥川龍之介
×『百物語』森鴎外
これらの作品を森見さんらしく、
現代の京都を舞台にリメイクしたのが今作品。
リメイクというより、もはやパロディともいえなくもないが
知っている作品の新釈では、
やはり原作を下敷きにしていると感じられた。
というか、そうでないと新釈ではないのだけど。
でも、知らない作品でも、とても楽しめた。
どれも有名作家の原作のあるもので、
上記の原作の、さらに原典もあるものも存在しているのだけど、
それらを、まさに自分色に染めたといえるような話だった。
『太陽の塔』『夜は短し歩けよ乙女』のような暴走話もあれば
『きつねのはなし』のような幻想的で怪異な話もあり、
バラエティに富んだ作品集。
それぞれの短編に出てくる人物が、他の短編にも出てきたり、
森見さんが、過去に出した作品に関連する記述もあったりして、
森見登美彦の小宇宙体系といえるような作品だった。