『ZOO(1)』 乙一
乙一さんの作品は、大学入ったばかりのころ、
つまりは、3年前以来。
『きみにしか聞こえない―CALLING YOU』を読んだのが最初で、最後。
その中の「CALLING YOU」はよく覚えていて、
優しくて、切なくてというイメージが乙一さんの僕のイメージ。
だけど、この短編集は、ちょっと違った。
ジャンル分け不能とうたわれているようで、バラエティに富んでいる。
でも、一言でどう表そうと考えると
現代の童話と答える。
童話というのは、どれも実は残酷なものだったりする。
それに、この短編たちはどれもちょっと奇妙なものばかり。
奇妙な童話たち。
もしかしたら、世にも奇妙な物語というのがぴったりかもしれない。
「カザリとヨーコ」
「SEVEN ROOMS」
「So-far そ・ふぁー」
「陽だまりの詩」
「ZOO」
どの作品も、それぞれ違った趣があるが。
根底には、小学校くらいの時によく聞いて恐怖した、
怪談話のような、おどろおどろしさがあった。
あの角には、何かがいる。
あの闇には、何かが潜んでいる。
得体の知れない、何かがあるのではないかという。
そして主人公には、得たいの知れない何かが迫っている。
主人公は特別強くもなく、
どちらかというと読んでいて守ってあげたくなるのだけど
読み進んでいると、得体の知れない何かとは、
主人公の内面にあると、僕は感じていった。
う~ん、ホラーだ。そしてファンタジー。