『ZOO(2)』 乙一

ZOO〈2〉 (集英社文庫) ZOO〈2〉

こうして乙一さんの短編集『ZOO(2)』も読み終えて

1巻と合わせて考えると、やっぱり

「なんなんだこれは」にぶち当たる。

「血液を探せ!」

「冷たい森の白い家」

「closet」

「神の言葉」

「落ちる飛行機の中で」

「むかし夕日の公園で」

1巻以上に、バラエティに富んでいて、

個人的には、2巻の方が好み。

最後の話がそうだったせいか、少し、しっとりと

黄昏時にでも読むのに、ふさわしいとうに感じられた。

黄昏時なだけに、前は明るい画面かと思えば、

暮れてしまえば、暗黒がやってくる。

パッと場面、場面で世界が変わるようなバラエティさ。

物語にがっちり捕まえられて、最後まで連れてかれる。

だけど、掴んでいたと思ったら、パッと手を離されてしまい、

一人ぼっちで、途方にくれてしまう寂しさ。

夢を見ていたかと思うような、その夢を切り取ったような

おぼろげな話のイメージがあった。