『配達あかずきん』 大崎梢
元書店員が描く、書店ミステリーだということ。
バイトとはいえ、元書店員としてはとびつく魅力が充分すぎた。
読んでいると、バイトしてたころを思い出す。
あるある、的なこともそこかしこに。
人殺しとか、そういうミステリーではないけど、
ちゃんとミステリーしてて、上手い具合に書店が絡んでいる。
そして本編と同じくらいといったら、いけないけれど
あとがきの「書店のことは書店員に聞け」
という本編の内容も交えた対談も、すごいおもしろかった。
似たような出来事や愚痴を、僕も聞いた気がしてならない。
そしてそれは、本編にも言えることで、
書店の人の心を、みごとに掴んでいて、
書店の人で無い人にも、こんなことしてるんだよって、
こんな苦労や、楽しみもあるんだよって、伝えられていると思った。
普通にミステリーとしても読んでもいいし、
人物のドラマでも良し、書店の裏事情を知るのでも良し、
一冊で二度も三度も美味しいという本だった。