「文体とパスの精度」村上龍、中田英寿
以前、『悪魔のパス 天使のゴール』を読んで、
村上さんは、サッカー好きなんだなと感じましたが、
これを読むと、やっぱり、サッカー好きだなと感じた。
サッカーを見るところも、おもしろいな~と感じる。
人によっては、なんだ文句ばかりいいやがって、この親父が!
とか思う人もいるだろうが、サッカー見てる人なんて、みんなそんなもの。
経験者じゃなければ、なおさら。
みんな好きだから、文句言うし、褒めるとこは、褒める。
あーだ、こーだ、ネットの普及で、
色んな人達の言いたいことが、言えるし聞ける。
この本でも、ネットの普及は、良いことだと、
有名な人達は、特にそう感じるんでしょうね。
マスコミという媒体を通らないから。
メディアだけを媒体にするなら、
ほぼ自分の言葉を、大勢に伝えられるから。
それと、2人の人間性がよくわかる。特に中田の。
村上さんが、中田という人間を、わかりやすく僕らに導いた感がある。
僕は、あんまり中田のホームページ見ていなかったから、
どうしても、マスメディアが作り上げる、イメージがあった。
強く、孤高で、サッカーに対してストイックで、頭が良く、近寄りがたい。
対談で、特に印象的だったのが、
中田は、自分の心の中のコアのようなところは、
傷つきやすいと言っていること。
「弱い」と言ったほうが、正しいとさえも言っている。
でも、それを補うために、色んなものを身に着けて、
武装しているという話もしていた。
自分を守るためには、自分で工夫しろと語っていた。
自分のことは、自分でやれ、自分で考えるんだ、自分が守るんだ。
中田の哲学のようなものを感じた。
あと、2人の年齢はけっこう離れてるんだけど、
2人のメールの内容、対談を見ると、
ほんとに仲の良い友達なんだと感じる。
2人とも、言いたいことを言ってるし、いい意味で遠慮がない。
それに、2人は頭が良い、回転が速いと言うべきなのか。
そう考えるか~とか、そう答えるのかと関心する。
あと、村上さんは、作家だけあり、話の内容が丁寧でわかりやすい。
特に対談の部分が。表現とか、すごいおもしろい。
さすがだな~と思う。
これが文体の精度と言うべきものでしょうか?
雑誌に載るような、内容のものだけど、
こういう本も、おもしろいものでした。
2人の繰りなす、会話というパスの精度は、非常に高く、
サッカー興味ないよって人も読んでみて損は無いと思います。
メールの部分は、サッカーのことだらけなので、
読んでもつまらないかもしれないけど……
そこは、サッカーファンが喜べばいいでしょう。