「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」村上春樹

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉

これが、村上春樹作品の中で、初めて読んだ本。

村上春樹というと、自分の中で、なんか高級すぎるブランドみたいと思い、

自分にそんな本物の文学っぽく高級な作品は、

合わないと思い敬遠してたけど、

これは、ストライクに自分の好み。

まさに、読まず嫌いだった。

買った理由はタイトル、この不思議なタイトルに引かれた。

値段も文庫で手ごろだったし、手にとって作者見たら、

村上春樹じゃん!と思ったが、

あらすじを見てもおもしろそうだったし、買って正解の本だった。

本ってものは、読んで見なきゃわからない。

世界の終わりという閉鎖された街で自分の影を引き離され、

人々の夢を読んで暮らす「僕」

見たところ普通な世界であるが、なにやらトラブルに巻き込まれた「私」

僕と私の2つの冒険。

テーマ曲は何と、聞かれたら、やはりボブ・ディランの唄かな?

自分の影が死んだ時、その影の持ち主の心は消える。

人の心とはいったい何なのか。影が死ぬと、何故心が消えるのか。

影は、何を意味するものだったのか。

心には間違いないが、それ以外もあると思う。

「僕」が影を取り戻した時「私」が失ったものの全てを取り戻せる。

つまり、そういことなのだと思うが、文学的で、哲学的で、難しい。

自由なのか、哀しみなのか、記憶なのか。

心が、抑圧された世界で生きれるのは、完全な人間。

つまり、心をなくした人間だけ。

壁に囲まれた世界では、破滅の道を歩むしかない。

しかし、その壁を越えることが出来たら。

その方法は夢を捨てること。

しかし、それを捨てずに、その壁を、世界を超えることができるなら……

影は、どこへ消えたのか。僕には、何が残ったのか。

私の世界は、終わったのか。

ラストで一羽の鳥が、高い壁を越えていった。

影も、壁を越えれたのだろう。では、私は?僕は?

もう一度、読み返しておきたい。