『失われた町』 三崎亜記
タイトルに失われたとあるように、
読み終わった後も、ああ~失われてしまったのだなって
センチメンタルな気分になった。
だからといって、絶望だけが残る話でもない。
様々な視点、様々な場所から紡がれる「失われた街」を巡る話。
最近読んだ中では、伊坂幸太郎さんの
「週末のフール」に近いものが感じた。
抗えないものに、必死であがき続ける人間の姿。
この失われた町とは、タイトルそのままに町が失われる話だ。
町の人物も消えてしまうので、
物語の中心になるのは、その町に関係する様々な人たちとなっている。
同作者の著作『となり町戦争』の、戦争理由、内容のように
この話の消える理由、メカニズムは解明されてはいない。
だけど、そんなこと関係なくて、これはそこに関わる
人間たちのドラマで、空虚感もあるけど希望だって残されていた
基本的に僕はハッピーエンドの物語が好きなんだけど、
この話は、ハッピーエンドといえないかもしれない。
でも、何かが残されているような。
そんな、次に繋がる何かが残された話というのは、
人間が生き続けていくための世代交代のように、
とっても大切なテーマなのかもしれないなって感じた。
失われた後に、誰かが何かを行動したり、受け継いだりするように。