『我利場の船出』 灰谷健次郎
ちょっとファンタジーっぽいものを読みたくて、買ってみました。
確かにファンタジーっぽいが、骨太なテーマだった。
子供向けのように感じるが、ちゃんと大人にも通じる本だと思う。
生まれ変わりたいと思うことだけが
生きがいの人間にとっては、
自分の国も家庭も必要ではない。
そんなものから解放されて生きることができたら、
どんなにせいせいすることかたぶん誰もが一度は、思うことなんかじゃないのか。
でも、社会のルールや、家族の存在など、色んな存在がそれを許さない。
どんなに抗っても、それはずっと自分に付きまとってくる。
生きていくには、お金が必要だし、
今の快適な生活を、崩して生きることも難しい。
それでも、全てを捨てて生きる決心が出来た時、どうやって生きていくか。
自分だけでも生きることができるか。それとも何かにすがって生きるか。
自分のユートピアは、何処なのか。
それが、今いる場所じゃないと知ってしまった時、
僕らは、我利場のように旅にでるのだろうか?
でも、それが出来ないから、
本や映画、ゲームで疑似体験を求めるんじゃないだろうか。
この国を「だれでもの国」と思ってる人は、たぶん大勢いるだろうが、
実際問題、そういうわけにいかない。
僕らのユートピアは、何処にあるんだろう。