読書 作家別 「は行」

『カンバセイション・ピース』 保坂和志

カンバセイション・ピース とくに何もない日常。 明確な起承転結もなければ、事件が起こるわけでもない。 起こってしまったのは過去であり、 現在に何かが起こったということもないのだけど、 繰り返される会話の中で、ゆるやかな変化が見られた。 とか言っ…

『愛煙家にもいわせて!』 藤田美紀

愛煙家にもいわせて! 2、3年振りに父親の運転する車に乗った。 そこで、渋滞や、あまりに遅い車に対するイライラぶり、 荒い運転は、父親からの遺伝だと悟りましたよ。 もう一つ、遺伝かなと思うのは、タバコ。 両親、じいさんと愛煙家の家に生まれ育った…

『LOVE』 古川日出男

LOVE これは、かなり好き嫌いがわかれそうだな。 という僕は嫌いではない。 僕は群像劇が好きなのだ。 文章も、ちょっと間違えば いきがっているだけの、くどい文章になるがちだけど いかしてるぜって言いたくなる、 スタイリッシュな文章で、虜になりそう。…

『ぼくと未来屋の夏』 はねやまかおる

ぼくと未来屋の夏 すごく懐かしい気分になった話でした。 幼い頃読んだ、ジュブナイル小説やゲームのような本 テレビの天才テレビ君を見ていた頃の自分が感じていた 当たり前の日常の中に潜む、やわらかい日差しのような温かい非日常。 かつて子どもだったあ…

『容疑者Xの献身』 東野圭吾

容疑者Xの献身 直木賞受賞を果たした、東野圭吾さんの新刊本。 ややネタバレしますんで、未読のかたは、お気をつけて。 主役の容疑者Xさんこと石神という数学教師に感情移入できるかも けっこうな、ポイントになるかと。 僕は、文系人間なので数学嫌いですし…

『幻夜』東野圭吾

幻夜 なぜ彼女は、過去を捨てたのか。 追いつめられたからか、男の死からか。 ずっと不思議だった。 それは、今でもわからない。 やっぱり、彼女の心理描写がないから。 帯の裏を見なくて読み薦めたので、 もしかしたら、別人かもとも考えた。 でもやっぱり…

『白夜行』 東野圭吾

白夜行 これほどの長編を、主人公の心理描写なしでやってのけて、かつ、 それが、おもしろいときた。 白夜を歩む二人の、孤高さを引き出している気がする。 いつまでも太陽の当たらない道を歩む二人。 だけど、いつまでも交差しない道を歩む二人。 それなの…

『蝉しぐれ』 藤沢周平

蝉しぐれ 映画に感銘を受けて、遅ばせながらも原作を読了。 まず思ったのは、映画と小説の「蝉しぐれ」は、 同じものでありながら、別物ということ。 でも、作品から受ける、すがすがしさや郷愁、淡い恋は同じものだ。 映画は、恋や友情に焦点を当てたとすれ…

『我利場の船出』 灰谷健次郎

我利馬(ガリバー)の船出 ちょっとファンタジーっぽいものを読みたくて、買ってみました。 確かにファンタジーっぽいが、骨太なテーマだった。 子供向けのように感じるが、ちゃんと大人にも通じる本だと思う。 生まれ変わりたいと思うことだけが 生きがいの人…