『箱のなかのユダヤ人』トマス・モラン

箱のなかのユダヤ人 箱のなかのユダヤ人

タイトルから想像できるよう第二次世界大戦のなかの、

ナチス・ドイツの、ユダヤ人迫害が、背景にある。

この小説は、一人の少年の視点から語られる

戦争時の少年の日常が語られている。

命の恩人であるユダヤ人を、

自分の納屋の幅1m、高さ3mの箱にかくまいながら、

2年間の少年の生活が語られる。

幼馴染の目が見えない少女ジギが、キーパーソンか。

少年は、13歳~15歳までこの小説内で成長していく。

最初しばらく読んだら、名作の雰囲気がしたが、ちょっと期待と違った。

おもしろいが、さほど戦争が関係ない。

あるとすれば、ユダヤ人を隠さないといけない状況のためくらいか。

それと、ラストの部分に少し。

それほど、激しい描写は無いが、

作者はロリコンか?と思わせる描写が多いのも気になる。

でも13歳~15歳といえば、こんなものか?

読んだところ、ユダヤ人の存在が、

主人公の「僕」に影響を与えたかは、わからない。

そんなに、ユダヤ人の存在が大きくないように思える。

幼馴染のジギの方が全然大きい気がしないでもない。

少年が大人になった時、ユダヤ人との2年間が、

大きなものになるかもしれないが、

それは、また別の話なんだろう。

最後の章の感想は、その章のタイトル通り「人生なんてこんなもの」

人生なんて、どう転ぶかわからない。

箱のなかで暮らすことになるかもしれないし、

目が見えなくなるかもしれない。

村から出て行かなければいけないかもしれない、

足が無くなるかもしれない。

可能性なんて、いくらでもある。

戦争だって起きるかも、

テロもあるかも、何が起きてもおかしくないんだ。

その中で、どう生きていくか、これが問題なのだろう。