『フィンガーボウルの話のつづき』 吉田篤弘

フィンガーボウルの話のつづき (新潮文庫 よ 29-1) フィンガーボウルの話のつづき

僕は、フィンガーボウルなど使ったことが無く、

フィンガーボウルと言われると、

ピューと吹くジャガーで使われたネタばかりを思い出す、

わかる人には、わかる的なネタを使うkakasiです。

「世界の果てにある食堂」の話をかきあぐねている主人公。

そんな時、ジュールズ・バーンという謎の作家の話を知り、

真っ白な、ビートルズホワイトアルバムのことを思い出す。

世界の果てまで あと、どのくらい――

クラフト・エヴィング商會の作者が生み出した、

ビートルズのメロディが繋ぐ物語集。

この話は、クラフト・エヴィングを読んだことがある人ならわかるよう、

不思議で、なかなか掴めず、答えもわからないような、

雲を掴むような話。

結局のところ、16+1の短編がどう繋がっているかも、

完全には理解できなかった。

だけど、どこか微妙にリンクしている。

この物語の世界に存在している、

主人公の吉田君。

ジョン・レノンを待たせた男」

しわくちゃシャツを着た「キリントン先生」

レインコート博物館で働く「小さなFB」

余白に詩を書き込む「白鯨詩人」

同じ世界の出来事のようで、違う世界の話の人物達のようにも思える。

そんなバラバラな話を繋げるのが、ビートルズホワイトアルバム

真っ白なこのアルバムの大きな余白に書き上げた物語で、

一枚の絵のような感じに作り上げられている気がする。

お気に入りの話は「ピザを水平に持って帰った日」

僕自身は、ホワイトアルバムはもっていないが、

父親が、もう真っ白とはいえないが、

確かに通し番号が刻まれているだろうレコードを持っている。

数日の内に実家に帰る予定なので、

その白いジャケットから、黒いレコードでも取り出して

針を落としてみようかなって思っている。

「オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ」

なぜか、音を流してみると

物語の人物たちの人生も続いていくような気もしてくる。