『フィンガーボウルの話のつづき』 吉田篤弘
僕は、フィンガーボウルなど使ったことが無く、
フィンガーボウルと言われると、
ピューと吹くジャガーで使われたネタばかりを思い出す、
わかる人には、わかる的なネタを使うkakasiです。
「世界の果てにある食堂」の話をかきあぐねている主人公。
そんな時、ジュールズ・バーンという謎の作家の話を知り、
世界の果てまで あと、どのくらい――
クラフト・エヴィング商會の作者が生み出した、
ビートルズのメロディが繋ぐ物語集。
この話は、クラフト・エヴィングを読んだことがある人ならわかるよう、
不思議で、なかなか掴めず、答えもわからないような、
雲を掴むような話。
結局のところ、16+1の短編がどう繋がっているかも、
完全には理解できなかった。
だけど、どこか微妙にリンクしている。
この物語の世界に存在している、
主人公の吉田君。
「ジョン・レノンを待たせた男」
しわくちゃシャツを着た「キリントン先生」
レインコート博物館で働く「小さなFB」
余白に詩を書き込む「白鯨詩人」
同じ世界の出来事のようで、違う世界の話の人物達のようにも思える。
そんなバラバラな話を繋げるのが、ビートルズのホワイトアルバム。
真っ白なこのアルバムの大きな余白に書き上げた物語で、
一枚の絵のような感じに作り上げられている気がする。
お気に入りの話は「ピザを水平に持って帰った日」
僕自身は、ホワイトアルバムはもっていないが、
父親が、もう真っ白とはいえないが、
確かに通し番号が刻まれているだろうレコードを持っている。
数日の内に実家に帰る予定なので、
その白いジャケットから、黒いレコードでも取り出して
針を落としてみようかなって思っている。
「オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ」
なぜか、音を流してみると
物語の人物たちの人生も続いていくような気もしてくる。