『イレギュラー』 三羽省吾

イレギュラー  イレギュラー

夏だ! 熱いぜ! 高校野球

今、こうしてパソコンに向かってカタカタやってる人もいれば、

炎天下の中野球をやってる人もいるわけです。

常葉菊川広陵の試合を見ながら、書いています。

僕としては、常葉菊川を応援してるのだけど、負けている……

この本も、常葉菊川が見える場所というか、

すぐ隣にある図書館で読んだので。

地元民まるだしの、愛で応援しています。

さあ、本の話。『厭世フレーバー』の作者なので、

ちょっと変わった話かと思えば、真っ向勝負の青春野球ストーリー。

これには、ちょっと驚いた。

少年漫画にありそうな、ストレートな話だったので。

そう、まさに熱闘甲子園の今の時期にぴったりな小説。

でも、タイトルは「イレギュラ-」

すんなりいくわけがない。いってたまるかったって、

作者が思いながら書いている話だとも思えた。

主人公の高校は、村にある小さな高校で弱小。

しかもメンバーはぎりぎり。選手も監督もやる気もなし。

マネージャーが一番やる気があるという。

さらには、最近自分の村が水害にあい、野球どころではない。

練習しようにも、場所もない。

おいおい!?大丈夫か?となるのだが、

素質は全国レベル、態度ならメジャーレベル。

という、まさに漫画な主人公と、

多くの「イレギュラー」に見舞われながら、

野球少年たちが、真剣に野球に取り組む。

これは野球の小説だが、勝ち負けうんぬんの試合より、

野球を通じての、交流や成長を描いていく。

他校の真剣に野球に取り組んでいる選手との交流、

水害で苦しむ、同じ村民との交流。

野球を通じて、何かを訴えかけてくる。

野球で、ダメダメ野球部が熱くなっていく。

イレギュラーな出来事が、人の交流と成長を促し、

読む僕には、考えさせられることもあるし、熱くもさせられた。