『らくだこぶ書房21世紀古書目録』 クラフト・エヴィング商會
タイトルに目録とあるけど、目録ではない。
でも、目録なのだ。
ん?それはどういうこと?
つまりは、わけのわからない不思議な本なのだ。
それこそ、わけのわからない不思議なことを言っているように思えるが、
クラフト・エヴィング商會という人たちは、
わけのわからない。しゃれっ気のある不思議の本を作っている。
この本は言うなれば、架空の本の目録を、紹介している本だ。
その本は、21世紀に出された本たち。
この本の発売は、2000年の12月なので、
すべてが未来の本になっている。
未来から送られてきた、古書店の目録を受け取り、
こんな本があるのだ、取り寄せてみようとの、
ちょっとしたSFでファンタジー。
少しその目録内の本を紹介すると、
『茶柱』
『羊羹トイウ名の闇』
『7/3横分けの修辞学』
『Water/Door/Big』
『その話は、もう3回きいた』
『魂の剥製に関する手稿』
『最後にひとつ○を書くということ』
こんな本たちが、紹介されている。
また、クラフト・エヴィング商會は、デザイナーでもあるので、
その目録内の本たちが、写真でちょくちょく入ってきて、
この写真が、異常に凝っていて面白い。
「未来」について考えてみるこの一冊。
未来から送られた目録と、注文した古書を眺めて、
ちょっとした未来についての哲学的なことを考えてしまう。
この本は、未来からなぜ目録が送られてきたかとか、
その目録の本を注文して、未来の本がなぜ手に入るのかなど、
そういったことを、推理する本ではない。
謎は、謎のままのほうがいいのだ。
不思議のままのほうが、おもしろい。
想像力と創造力を駆使して、作られた
『らくだこぶ書房21世紀古書目録』
すでに未来はなつかしいと、本の帯に記されている。
読み終えた後、なるほど、なるほど。