『ダブ(エ)ストン街道』浅暮三文

ダブ(エ)ストン街道 ダブ(エ)ストン街道

なんだこの表紙は?と思わず買ってしまったこの本。

メフェィスト賞受賞作品なのに、全然ミステリーじゃない。?????

これは、ファンタジーだ。

ファンタジーで冒険物だが、敵はいない。

物語は簡単、主人公のケンが行方不明になった恋人タニヤを探しに、

謎の島「ダブ(エ)ストン」へやってくるというものだ。

この小説の人物たちは、常に迷っている。

人は生きている限り、旅人とはよくもまあ、言ったものだが、

それがピッタリ当てはまるのが、この小説に人物たち。

かなり変わり者だが、愛すべき人物たち。

人間だけでなく、言葉を話す熊や、半漁人、

そしてみんな知っているアノ人まで。

だが、この名前さえダブ(エ)ストンとは、正直わからないこの地では、

彼らもただの、迷い人。

RPGでよくある迷いの森と言ったところか…

ただし、行き止まりなどなく、どこまでも続いていく。

森ばかりでなく、街道を歩いてさえ迷ってしまう。

「ダブ(エ)ストン」「ダブエストン」「ダベーストン」

「ダブストン」「ダベットン」

名前さえ定かでない、正しき道など存在しないこの島で、

ケンはしだいに、生きる意味を見つけることになる。

ただの考古学者のケンが、

アップルという郵便配達と一緒に放浪することで、

ダブ(エ)ストンを歩き続けることで……

それにしても何とシュールな。

全てがシュールだ。お供が郵便配達というところも。

そういえば『20世紀少年』の2巻の表紙が、

シャケおにぎりを持ち、赤ん坊を背負っている、コンビニ職員というのに

惹かれたのと、何となく似ている。

世界を救うために立ち上がる、コンビニ職員。

謎の島で、旅をする考古学者と郵便配達人。

う~ん、ある意味ミステリー