『そして扉は閉ざされた』 岡嶋二人

そして扉が閉ざされた (講談社文庫) そして扉が閉ざされた

この本の前に読んだ本は乾くるみさんの『リピート』

そして今回読んだ『そして扉は閉ざされた』には奇妙な符合が。

時系列的に『リピート』が後の作品なので、乾さんが狙ったのか、偶然なのか。

この両本、主人公の名前が「毛利」であり、ヒロインの名前が「鮎美」と、

まったく同じだった。

奇妙な偶然にこういうこともあるのかと驚いた。

偶然に毛利と鮎美の話を二回続けて読んだことになる。

こんなことは、初めてだ。

そこは置いておいて、本編の方は、

完全な密室に閉じ込められた、男女四人の物語だった。

ある事件を通じて繋がる四人が、その事件を回想していくというもの。

そして犯人はこの中にいるのではと疑いながらも、

力をあわせて、密室からの脱出を試みていく。

というたったそれだけの話。

事件のことはひたすらに回想だけで、

実際の舞台は扉が閉ざされた密室のみに終始されている。

回想では事件があるが、現在進行形ではまったく何もないのだが、

とんでもなくスリリング。

推理が加速していく様は、読んでいてページをめくる手が止まらなくなる。

惹き付けられるってこういうことなんだと思い知らされた。