読書 「北村薫」

『ひとがた流し』 北村薫

ひとがた流し すごくゆったりとした流れに沿うかのようなお話で、 じわりじわりと引き込まれていった。 大きな出来事が無いわけでもないけど、 終始一貫として、同じような雰囲気だった。 読む人にとっては、終盤は暗くて悲しいと思うけれど、 僕には最後ま…

『朝霧』 北村薫

朝霧 前作の『六の宮の姫君』で、いい最終回だと思っていたら、 続きがありました。 私は、学生を卒業して社会人に。 確実に流れていく時間の流れに、ゆっくり一歩ずつ踏み出していく。 同じように、僕も学生を卒業して社会人に。 昔の友達とはなかなか会え…

『リセット』 北村薫

リセット 北村薫の「時と人」シリーズ3部作の最終章。 時は残酷でもあるけど、同時に優しい。 前2作より救いに富んでいて、時がとても寛容に刻む。 本当にこれは奇跡の話で軌跡の話。 人が歩いたその道の果てに何が待っているのか。 想像することはあるだ…

『ターン』 北村薫

ターン 時の迷子という言葉が浮かんできた。 交通事故にあい、気づいた時は昨日。 時は明日に向かわず、昨日が繰り返されていく。 しかも自分以外、人がいない。 時と人シリーズの2作目。 時間というのは、みんな同じように流れていて、とても平等。 でも、…

『スキップ』 北村薫

スキップ 思い出は大切だけど、思い出を作っていくことの方が、 ずっと大切なことだと思う。 なんだけど、思い出がなくて、自分が存在している。 自分が自分の思い出を知らずに、他人が自分の思い出を知っている。 これは、とんでもなく残酷なことだと思う。…

『六の宮の姫君』 北村薫

六の宮の姫君 高校生だった時、文学作品においての 作者や時代の背景も踏まえて読むと、 面白いということを国語の授業で知った。 その授業の感想でも、そのようなことを書いた記憶がある。 知ったのだけど、高校生活では本を結局ほとんど読まず、 大学生に…

『秋の花』 北村薫

秋の花 『空飛ぶ馬』『夜の蝉』から、日常に潜む闇を匂わせていたけど、 この『秋の花』で、その闇が「私」へと静かに牙を見せた。 円紫さんと私シリーズの3作目、季節は秋へと。 とうとう殺人事件に私が関わってくる。 といっても、直接絡むわけではないが…

『夜の蝉』 北村薫

夜の蝉 季節はずれの本を読むのも乙なもので。 雪の積もる日に、夏の鮮やかな本を読みました。 前回読んだ『空飛ぶ馬』の続編になる『夜の蝉』 『空飛ぶ馬』の表紙には、髪を切りすぎた、子供のような私がいて、 この『夜の蝉』の表紙には、少し髪が伸びた成…

『空飛ぶ馬』 北村薫

空飛ぶ馬 いや、それなら馬が空を飛ぶわけですよ馬が空を? この馬が空を飛ぶというのは比喩表現。 でも、そんなような事件があり、主人公の女子大生が尋ねたことに、 この物語の探偵に当たる役の、噺家の円紫さんが応えた言葉だ。 日常の中にある、不可解な…